「BtoB企業にとって、ディスプレイ広告は効果が薄い」――。Web広告出稿を検討する場合、こうした話をよく耳にします。果たして、それは本当なのでしょうか? BtoB企業の商材を考えると、ニッチなサービス、製品で販売する対象が限られている場合が多く、ディスプレイ広告を出稿しても、あまり反応が良くない状況になりがちです。では、どうしたら広告の効果を高められるのでしょうか。
【目標設定】広告を配信する目的は何か
BtoB企業がWeb広告を出稿する際は、まず目的を明確にしましょう。その目的は、ビジネスの状況、事業の成長段階によって様々かと思います。Webサイトへの集客はもちろんですが、多くは次の3つに分けられます。
(1)認知度を高めたい:ブランディング
(2)見込み顧客を見つける:リードジェネレーション
(3)問い合わせしてもらう:コンバージョン
BtoBサイトですと、(2)や(3)のリードジェネレーション、コンバージョンを目指すことが多いと思います。その際は、リスティング広告などの選択肢もあるでしょう。ですが、「認知度を上げる」という目的の場合、「ディスプレイ広告」が適しています。サービスや製品を認知していないユーザーは、そもそも検索などの行動を取らないからです。
【事前調査】どれくらいかリーチするのか
実際に、ディスプレイ広告を出稿する際には、自分たちのターゲットとなる顧客候補が「広告の配信先に存在しているのか」「どのくらいのユーザーに配信できるのか」を調べなくてはなりません。
それらを調べるには、Google AdWordsの「ディスプレイキャンペーン プランナー」というツールを利用します。
想定しているターゲット層の興味、関心を入力することで、オーディエンス数を推定できます。具体的には、「個別のターゲット候補」タブから「キーワード」「興味/関心」「トピック」「プレースメント」「ユーザー属性」「リマーケティング」などを、ターゲットに合わせて設定します。これにより、Cookie数、表示回数を推定できます。
【見積もり】予算感を把握しましょう
費用の見積もりについては、配信スケジュールやクリック単価を設定していくことで、より具体的な金額が算出できますので、配信期間と時間帯を考えます。
例として、平日5日間の9時~20時までの時間帯を設定してみました。合わせて、ターゲット層の性別と年齢層を設定することで、広告を配信した際のクリック数や合計費用などの予測が表示されますので、広告を配信する前にざっくりとした予算感がつかめます。
【配信設定】広告を表示するユーザーの絞り込み
BtoB企業におけるディスプレイ広告の難しさに、ターゲットとするユーザーが局所的で、人数自体少ないという点があると思います。ここでお勧めしたいのが、Google ディスプレイ ネットワークのオーディエンス ターゲティングにある「カスタム アフィニティ カテゴリ」というGoogle AdWordsの配信設定です。
この設定の利点は、ターゲティング方法の柔軟性にあります。広告を表示するユーザーを独自に定義してアプローチできるのが大きな特徴。Google AdWordsの管理画面でユーザーの関心ごと以外にも、ユーザーが日常的に訪れているであろうWebサイトのURLを指定できるのもメリットでしょう。
限られたユーザーにサービスや製品を提供しているBtoB企業であっても、広告を表示する配信先を絞り込んだターゲティングができれば、想定するユーザーに広告を見てもらえます。もちろん、必要に応じてユーザーの性別や年齢層といった属性ごとに配信先を設定できます。
【その他の設定】配信時期やデバイスにも注意
その他に注意したいのが、広告を配信する時期です。年末年始やゴールデンウイーク、お盆の時期など、多くのビジネスパーソンが休暇を取る時期に広告を配信しても、見てもらえる機会は減ってしまいます。広告を配信する際は、ロスが発生しづらい時期を選んで実施しましょう。
また、配信する端末の設定も考慮すべきポイントです。デバイスの配信設定については、自社のサイトの閲覧ユーザーの端末(PC、スマートフォン、タブレット)ごとの割合を確認してください。PCかスマートフォンのどちらかの割合が極端に多いのであれば、思い切って1つの端末に限定して広告を配信すれば、コストが抑えられます。
さらに、除外設定も注意が必要です。全く除外設定を行ってない場合、配信したくないアプリやゲームのサイトに広告が表示されてしまう恐れがあります。それを防ぐために、キャンペーンの除外プレースメントをしっかり設定しましょう。
【まとめ】目的を明確にしたうえでPDCAを回す
繰り返しになりますが、まずは適切な目的と目標の設定が重要です。どのような人に向けて広告を配信したいのか、どのようなスケジュールで配信し、どれくらいのコストがかかるのかを事前に把握したうえで、出稿を検討しましょう。
その後、目的にあった広告タイプ、広告プラットフォームなどを選択しますが、“完全無欠のWeb広告”がある訳ではありません。それぞれのシーンに応じ、このプロダクトには、この広告、プラットフォームが有効だろうと仮説を立てつつ配信し、その結果を分析しながら取り組んでいく必要があります。
弊社では、BtoB企業でWebマーケティングを担当されている方々へのコンサルティングサービスを提供しております。Web広告の運用代行も承りますので、何かお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
<著者プロフィール>
久保田 善博(くぼた よしひろ)
2010年5月入社。BtoB企業サイトのデザインや新規事業のWebマーケティング担当を経て、現在はデジタルコミュニケーション事業部でコンサルタント業務に従事する。WACA公認 上級ウェブ解析士。 2017年よりシェアリングエコノミー事業を利用して活躍するホストを紹介するメディアShare!Share!Share!の編集長を務める。また、副業として一般社団法人日本ふるさと手しごと協会を立ち上げ、メンバーとなる。