若者の街、渋谷の象徴として存在感を示す「SHIBUYA109」。この施設を運営する株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、2016年10月に施設サイトとEC(電子商取引)サイトを統合し、新たなSHIBUYA109サイトの運用を開始しました。その際、採用したのが、コーディネートスナップを簡単に投稿できる「SNAPBOARD」です。その投稿経由のコンバージョン率は通常の3倍になるといい、売上の安定化に大きく貢献しています。
渋谷や若者文化の象徴としての「SHIBUYA109」
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、渋谷のランドマーク「SHIBUYA109」を中心に商業施設運営、さらに「SHIBUYA109」ブランドに関わる様々な事業を展開する企業です。同社のブランドステイトメントは“Making You SHINE!”。若者の今を輝かせ、夢や願いを叶えるために、「場」を提供するにとどまらず、新たなムーブメントやカルチャーを生み出し、世の中を輝かせていこうとしています。
2004年には「SHIBUYA109公式通販」をスタートさせ、長年ECサイトを運営してきました。その強みは、やはりSHIBUYA109というリアルな場を持っていること。インターネット経由とはいえ、入居するブランドや店舗と一緒になってアイテムの販売を行っています。
「店舗に来るお客様は10代後半から20代前半にかけての年齢層が中心で、地方からSHIBUYA109を目指してくれる方も多くいます。ただ、頻繁に来店できるわけではないので、地元に戻ってもデジタルでつながり、渋谷で買い物する感覚を再現できるよう意識してきました」と、SHIBUYA109エンタテイメントの内藤文貴氏は語ります。
若者における「ファッションの優先度」は低下傾向に
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの自己表現手段が増えて、若者のファッションに対する優先順位は、かつてより低下する傾向にあります。SHIBUYA109の来店者に実施した調査でも、「好きなブランドはない」と答える人が増え、ブランドを意識する10代、20代は以前より減っている状況です。
ファッションにおけるブランドや店舗へのこだわりが減少する一方で、他のECサイトなどあちこち探し回って、最も安いところを見つけ出すなど、「購入で絶対に失敗したくない」という強い思いを持って購入する消費行動が見られるといいます。
そこで重要になるのが、どのようにブランドや商品の魅力をアピールし、購入を検討する若者たちの背中を押せるか。「SHIBUYA109には、購入への影響力がとても強いショップスタッフが多数います。個人SNSのフォロワーが万単位でいて、自分の投稿を販促につなげるなど、自身のスマートフォン上で自然と“接客”が始まっているわけです」と内藤氏は説明します。
SNS上で単に新商品を告知するだけでなく、販売開始時期やお店への出勤時間なども知らせており、細々としたやり取りを通じて顧客の満足度を高め、販売を積み重ねます。「ECサイトにおいても、こうした個人や現場の力を、いかに活用するかが大切なのです」(内藤氏)。
現場から投稿するため400以上ものアカウントを運用
同社では、2016年10月、それまで別々だった施設サイトとECサイトを統合して、新たなSHIBUYA109サイト(https://www.shibuya109.jp/)の運用を開始しています。その際、施設ごと、ブランドごとに、ショップニュース、ショップスタッフのコーディネートスナップといった情報を発信できるようにして、ECサイトでの購入率を高めようと計画しました。
「コーディネートスナップの投稿システムをECシステムの内部に作るか、外部ツールにするか検討しました。内部システム化した場合の高コストや、投稿ユーザーの使いやすさから外部ツールが最適と判断。ECシステムベンダーからの紹介もあり、ガイアックスが提供する『SNAPBOARD(スナップボード)』を採用しました」と内藤氏は振り返ります。
SNAPBOARDは、コーディネートスナップなどをユーザー自らが簡単に投稿でき、その効果検証も可能なアパレルECサイト向け販促支援サービスです。コーディネートスナップの投稿はもちろん、ショップスタッフからの情報発信が、ECサイトや店舗の集客に欠かせない市場環境の中、投稿機能が後付けで組み込める手軽なツールと言えます。
同社ではコーディネートスナップだけでなく、施設ごとにショップニュースも発信するため、ユーザーはSHIBUYA109の社員もいれば、ショップスタッフも利用します。多数のアカウントの発行、管理が容易で、利用料金も低額で使い勝手がよさそうだったことからSNAPBOARDを選びました。
SHIBUYA109の渋谷店、阿倍野店、鹿児島店、109MEN’S 天神コア、MAGNET by SHIBUYA109の5施設とECサイトで、多数のショップスタッフがアカウントを持っており、アカウント数は実に400以上になります。そこでショップのマスターリストを作成し、その上でスタッフが利用できるアカウントを定めて、全体を整理していきました。
「2016年10月のローンチ当初は、まずは社内のみで使い始め、2017年初め頃からWebサイトの利用に慣れているショップから使えるようにしました。その過程で、ガイアックスに登録画面や検索機能を改修してもらい、膨大なアカウントを管理する我々にとって、非常に使いやすい管理画面になっています」(内藤氏)。
毎日10件以上の投稿が購入の後押しに大きく貢献
ECサイトを中心に全体を統括する立場の内藤氏にとって、ショップスタッフがどの程度更新してくれるかが、導入当初最も気がかりな点でした。現在、コーディネートスナップの投稿は毎日10件以上あり、各ブランドの利用も定着しています。
こうした活発な投稿の成果は顕著で、ECサイトにおいてコーディネート閲覧後の購入率は通常の3倍程度になっています。この数字からだけでも、コーディネートスナップの投稿がどれだけ顧客の後押しをしているかが分かるでしょう。
また、ショップニュース経由の購入率も、通常の2倍になるという結果が出ています。「SNAPBOARDの利用は当初考えていたよりも大きな効果を上げており、売上の安定、増加に貢献しています。使いづらいとショップスタッフも使わなくなってしまいますから、投稿しやすい登録画面であることが利用拡大の決め手になったのではないでしょうか」と内藤氏は話します。
商品を厳選して購入する顧客が増える中で、様々なブランドや商品のコーディネートを見て、自分の好みの着姿を見つけられるのは、購入に当たって安心感につながります。ショップスタッフを中心とした地道な情報提供が、購入率が大きく向上する要因になっているようです。
こうした成果の上に、同社ではショップスタッフがさらにSHIBUYA109サイトを活用できるよう、売上貢献度を評価する仕組みやSNSの活用などを今後織り込む予定でいます。一番の強みであるリアル店舗を主体にしつつ、ECサイトの展開や役割を強化していく考えです。