今更聞けないリードナーチャリングとは?押さえるべき8施策

BtoBの購買プロセスでは、課題が顕在化し購買に至るまでに長い時間を要するケースが多く見られます。
そのため、獲得したリード(将来サービス・製品を導入する可能性のある自社と接点のある見込み顧客)を適切なタイミングで案件化に導くための施策が鍵となります。

そこで今回は、獲得したリードを、案件化や受注の可能性が高い顧客へと育成(ナーチャリング)するプロセス、「リードナーチャリング」の具体的な施策についてご紹介します。

【目次】


リードナーチャリングはなぜ必要か

近年、BtoBの購買プロセスにおいて、インターネットでの情報収集がターゲットの購買決定に大きな影響を与えるようになってきました。

また、ターゲットとの接触においても、従来の営業スタイルであるプッシュ型からインバウンドメインのプル型へと大きく変化してきました。

冒頭でもお話したように、BtoBマーケティングではリードタイムが長くなる傾向があり、獲得したリードがすぐに案件化する、いわゆる「今すぐ顧客」になることは少ないです。
何らかの形でターゲットと接触してから、サービス・製品をリプレイス(乗り換え)してもらうタイミングが数年後という場合もあります。

——
案件化の見込が低いからとはいえ何もせず放置してしまっては、営業機会を逃し、いつのまにか競合に案件を奪われる可能性もあります。
デマンドジェネレーションとは?成功のためのフローと施策、体制作り
——

そのため、ターゲットのニーズが顕在化したときに真っ先に思い出してもらえるよう、中長期的なフォローが必要になります。

顧客ニーズを把握し、適切なタイミングでアプローチすることによって、見込度の高いリードへと育成していく、これがリードナーチャリングの目的です。

とはいえリード獲得後に、闇雲にアプローチしても非効率的ですし、たとえ案件化しても、その方法は属人的になってしまうでしょう。

ここからは具体的なリードナーチャリングの施策について紹介していきます。


リードナーチャリング施策1. Webトラッキング

Webトラッキングとは、ブラウザのCookieを利用し、見込み顧客の情報と自社のWebサイトへのアクセス履歴を紐付け、行動履歴から見込み度合いをスコアリングし、しきい値を超えた場合に営業が架電する、といったアプローチを行う施策です。

ターゲットが購買するまでに、情報収集や検討などの段階があり、そのタイミングに合わせた適切なアプローチをする必要があります。

Webトラッキングでは、行動履歴に基づき、コンテンツの提示やキャンペーンの生成、広告表示などを実施し、閲覧者それぞれに最適なコミュニケーションを提供することで、ナーチャリングしていきます。


リードナーチャリング施策2.メールマガジン

メールマガジンは定期的にターゲットにアプローチが可能なため、長期に渡り継続した関係を築くことができる施策です。

しかしメールマガジンは、登録のハードルが低い一方、解除のハードルも低いところがネックになります。

そのため、メールマガジンを継続的に購読してもらうためには、ターゲットにとって有益な情報を提供し続けなければなりません。

メルマガの施策1.タイトル命

メールマガジンのデメリットの一つが開封率の低さです。開封に導くためには、顧客ニーズを常に意識し、興味を引くタイトルをつけなくてはなりません。

また、適切なタイトルを設定することは、迷惑メールへ振り分けられるリスクも軽減できます。

メルマガの施策2.掲載内容は簡潔に!

メルマガの目的は、継続的な関係性の維持だけではありません。メール本文からのランディングページへの誘導によって、リードの見込み度合いをスコアリングすることが一番の目的です。

そのため、掲載内容はできるだけ簡潔にし、メール本文に掲載されたリンクからのクリック、資料やホワイトペーパー等のダウンロード、閲覧したページや時間といった様々なアクションをスコアリングし、アプローチのタイミングを見極めます。

メルマガの施策3.差出人名に気をつける

開封率に左右されるのは、件名だけに留まりません。

ターゲットにとって見覚えのある会社名やブランド(商品名)を差出人に設定することによって、ターゲットの勘違いや間違いを防ぎ、開封率を高めることが可能です。最近はBtoBで個人名を設定するケースも見られます。

また、差出人名が英語(ローマ字)やメールアドレスのままだと、ターゲットに迷惑メールだと判断されてしまう場合があります。

メルマガの施策4.思いを伝える

単にWebサイトのコンテンツを掲載するだけでは、徐々に開封率は下がり、解除が増えてきます。メルマガに大切なのは、いかに「次も読みたい」と思わせるかです。事務的な内容ではなく、執筆者の人柄が分かるようなことも掲載し、ファンを獲得することも忘れないようにしましょう。


リードナーチャリング施策3.ステップメール

ステップメールとは、リードの見込み度合い(スコアリング)に合わせてメールを送信し、認知度や見込度の確度を上げて購買につなげる施策です。

例えば、Webから資料請求のあった方に資料送付後、数日後にセミナー案内を送ったり、Webサイトへのアクセス時間が長い方におすすめのコンテンツやサービスを紹介する資料を送ったり、スコアリング状況に合わせたメールを配信します。

このようなステップメールを配信する際には、マーケティングオートメーションなどのツールが活用されます。


リードナーチャリング施策4.セミナー

顧客の抱える課題やニーズに応じたセミナーを開催することで、ターゲットとの関係性を強化していきます。

セミナーは、ノウハウや課題解決策を紹介するだけでなく、導入事例やデモンストレーション、機能紹介など自社の商材をアピールする場でもあります。

そのためターゲットにとっては導入時のイメージが湧きやすく、相談会への参加や商談といった具体的な検討段階へとステップアップしやすいメリットがあります。

さらに開催後のアンケートや参加者向けの資料ダウンロードなどから、ターゲットの検討段階や見込み度合いをスコアリングすることも可能です。


リードナーチャリング施策5.ホワイトペーパーのダウンロード

ホワイトペーパーのダウンロードは、リード獲得の機会を得るだけでなく、リードナーチャリングの施策の一つでもあります。

情報収集段階で、ターゲットに対するノウハウや事例紹介、課題解決などに役立つ資料をホワイトペーパーとして提供することで、自社への興味・関心度を高めます。

メールマガジンやステップメールなどを介し、ホワイトペーパーのダウンロードページへ誘導できれば、ホワイトペーパーの内容から、ターゲットの課題を把握し、興味・関心の度合いをスコアリングすることが可能です。

そのためにも、ターゲットのニーズや課題、検討段階に応じて、複数のホワイトペーパーを用意しておくと良いでしょう。


リードナーチャリング施策6.リマーケティング・リターゲティングの活用

リマーケティング(リターゲティング)とは、行動ターゲティング広告の一つで、サイトに訪れた閲覧者に対し、広告出稿先(他サイト)に広告(バナー)を表示する仕組みのことです。

接触機会を増やすことで、リマインドの効果を期待できます。

リマーケティングでは、コンバージョンしている閲覧者と離脱してしまった閲覧者、どのページを閲覧したのか、どこで離脱したのか、閲覧者の状況や検討段階によって表示する広告を分けることができます。


リードナーチャリング施策7.SNSの活用

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを活用し、ターゲットとの関係性を構築していきます。

ファンになってくれたターゲットに情報を提供したりオウンドメディアへ誘導したりするだけでなく、ターゲット同士がコミュニケーションを取れるファンページの活用により、ターゲットとの良好な関係性を築いていくことができます。


リードナーチャリング施策8.DM(ダイレクトメール)

見込み顧客から既存顧客まで多くのターゲットにアプローチが出来る手法として、DM(ダイレクトメール)があります。

業界によっては効果が期待できるFAX DMや、郵送による展示会の招待、セミナー集客など、目的・用途に合わせた活用方法を選択できます。


まとめ

獲得したリードをホットリード(見込度合いの高いリード)の段階になるまで継続的にフォローしたくても、営業のリソースが足りずに放置してしまい、アプローチのタイミングを逃して競合に案件を奪われてしまうケースはよくあります。

営業による訪問を嫌い、自ら情報収集を行い、最終的な検討段階に入ったタイミングで問い合わせをするターゲット(見込み顧客)も増えているため、状況に応じた適切なアプローチ、リードナーチャリング施策が必要です。

リードナーチャリングを含めた、デマンドジェネレーションのプロセスについては、以下のページも参考にしてみてください。

参考:デマンドジェネレーションとは?成功のためのフローと施策、体制作り